マリー・ゴーティエ 薔薇 油彩画
マリー・ゴーティエ|Marie Gauthie(1867–1960)
薔薇|Roses
制作年代| 19世紀末~20世紀初頭頃
技法| 油彩・キャンバス
サイズ| 縦26.3 × 横37cm
価格| ¥230,000(税込)

深い緑の葉の中からふっくらとした薔薇がこぼれるように咲く一枚。
淡いピンクから花芯の鮮やかな紅へと移ろう色彩は細部を丹念に描き込むというより伸びやかな筆触を重ねることで花びらの柔らかさと量感を捉えています。
とりわけ美しいのは画面中央の二輪の薔薇。
その周囲にまだ固い蕾や開きかけの花を散らすことで満開の花だけを並べた静物画とは異なる植物が今まさに花開いていく時まで感じさせます。
背景には灰色を帯びた青や褐色、深い緑を置きそこへ薔薇の明るいピンクを浮かび上がらせる構成。
26.3 × 37cmという小ぶりな絵画ながら色彩には驚くほどの力があります。

マリー・ゴーティエ(1867–1960)はパリに生まれたフランスの画家・版画家。
画家アマン・ゴーティエの娘として生まれ、父から絵画を学んだのちベルギー出身の画家アルフレッド・ステヴァンス、さらにピュヴィス・ド・シャヴァンヌにも学びました。
1893年から1914年にかけてサロンに出品し1905年には第3回サロン・ドートンヌにも参加。
1906年から1911年には装飾芸術家協会にも出品するなど世紀転換期のパリで活動しました。
近年のフランスの美術市場にもBouquet de fleurs(花束)と題された作品が登場しており花は彼女の制作に確かに存在した主題のひとつでした。
ゴーティエの作品は現在、オルセー美術館(Musée d’Orsay)のコレクションに収蔵されています。
同館の作家資料にはSeaford : Paysage avec un moulin,Saint Briac : petites filles pataugeant dans une mare, en bordure de mer,New York, Central Park : Arbres au bord d’un lac vus d’une butteなどが記録されています。
また、1905年のサロン・ドートンヌでは2作品を発表し1908年にはベルネーム=ジューヌで開催されたL’Algérie, La Tunisie & Les Indesに9作品を出品した記録が残されています。

ゴーティエを語るうえで興味深いのがその学びの環境です。
彼女は19世紀パリを代表する画家のひとりアルフレッド・ステヴァンスのもとで学び、さらにフランス象徴主義を代表するピュヴィス・ド・シャヴァンヌにも師事しました。
父アマン・ゴーティエも画家であり当時のパリの美術界に近い環境で育った女性画家でした。
この作品は小さくてもインテリアの雰囲気を変えることができる美しさがあります。
華やかな薔薇を描きながら甘美になりすぎず深い緑や灰色を背景に使うことでどこか落ち着いた雰囲気へ。
そして26.3 × 37cmというサイズも魅力です。
大きな絵画を飾るために空間を変える。
ではなく、家具の上や書斎、玄関、廊下など今のインテリアの中にさっと置くことができる。
100年以上前のパリで活動しサロンに出品し現在はオルセー美術館にも作品が残る女性画家。
その小さな薔薇の油彩を自宅で楽しむ。
そんな美術史と日常との距離の近さもHEATHでご紹介したいと思った理由です。