ウジェーヌ・ガリアン=ラルー 秋の小径 油彩画
ウジェーヌ・ガリアン=ラルー|Eugène Galien-Laloue(1854–1941)
秋の小径|Sentier d’automne
制作年代|19世紀末~20世紀初頭頃
技法|油彩・板
サイズ|縦33.8 × 横39.7 cm(額装含む)
価格|¥300,000(税込)

秋色に染まりはじめた木々のあいだを小さな二人の人物が歩いてゆく。
描かれているのは静かな水辺と細い小径、そして秋の気配をまとった木々です。
画面を近くで見るとその描写は草木は細部を丹念に描き込むのではなく緑、黄土、褐色、灰色を短い筆致で重ねることで表現され少し離れたところから眺めた瞬間、それらが湿り気を帯びた草原や霞む木立へと変わります。
なかでも印象的なのが小径を歩く二人の人物。ほんのわずかな絵具で描かれながら白い帽子と赤い色彩が広い風景のなかの小さなアクセントとなり静かな画面に物語を生んでいます。

右手の水面には白く淡い空が映り込み、その奥には黄葉した木々。
華やかな紅葉というよりも夏の緑が少しずつ色を失い冬へ向かってゆく途中の季節を描いたような、どこか儚い秋の風景です。

ウジェーヌ・ガリアン=ラルー(1854–1941)はパリに生まれたフランスの画家。オルセー美術館の作家資料によれば1877年からサロン・デ・ザルティスト・フランセに出品しています。
パリの街景を描いた作品で特によく知られていますが都市だけでなく田園や水辺の風景も手がけました。
その作品はフランスの公的コレクションにも収蔵されています。パリのカルナヴァレ美術館には1900年頃のPlace de la Républiqueが所蔵され、 ランス美術館にはLe Pont Saint-Michel et la CitéやL’Arc de Triomphe à Parisなどが収蔵されています。
またフランス文化省のJocondeにはオーヴェル=シュル=オワーズのドービニー美術館所蔵Cour de fermeが登録されておりガリアン=ラルーの田園を題材とした油彩作品が公的コレクションにも存在することが確認できます。

本作にあるのは名もない小径と水辺、二人の人物、そして移ろいゆく秋の色だけです。
けれど小さな画面の中には湿った土の匂いや少し冷たくなった空気まで想像させるような季節感があります。

そして魅力に感じたのが額装です。
年月を経た金色にところどころ覗く赤味。
端正に整えすぎることなく残された古い額の表情が秋の褐色や黄葉とよく馴染んでいます。
作品そのものだけではなく長い時間を経た額装まで含めて一つの景色になっていること。
小ぶりながら壁に掛けたときに不思議と目を留めてしまう。
そんな静かな存在感を持つ一枚としてご紹介いたします。